クレームチャートという言葉はよく聞くけれど、それっていったい何のこと? そんな疑問をお持ちになるかもしれません。
「クレームチャート」とは、特許請求の範囲に記載された請求項(クレームともいう)の言葉を分けて、製品などとの比較をしやすくした「表」のことです。
専門用語を使って難解に言うと、特許請求の範囲を分節して、それぞれの構成要件と、被疑侵害品との特徴を比較しやすくしたチャートです。クレームチャートと業界では呼ばれています。
自社の特許権(特許請求の範囲)が相手の製品に本当に合致しているのかを検討する際に用いたり、また、相手と交渉をする場面でも、相手側から、「なぜ、特許権者は相手の製品について侵害と考えているかを説明してほしい」などとリクエストされることもよくあります。
また、このクレームチャートは侵害の検討時や交渉の場面だけでなく、比較相手を先行技術文献等に変えれば、出願前の文献調査や、気になる他社の特許を無効化可能かどうかの検討などにも使える便利なツールです。下記に簡単なクレームチャートの説明を作成しました。本説明が理解の助けになれば幸いです。それでは行ってみましょう!
※本ケースはあくまで説明のためのフィクションです。
X社は、椅子についての特許XXX号を持っていました。その請求項1には
「座面と、
前記座面を支える4本の脚と、
前記座面から見て、前記脚と反対側に設けられた背もたれと、を有する、
椅子。」
と書かれています。
また、明細書には下記の記載や、図面1として椅子の絵も描かれています。(図はいらすとやさまから)

X社は、図面1の椅子を販売するビジネスをしていました。しかしながら、最近の売り上げは芳しくありません。
X社は市場調査を行いました。すると、X社の椅子に似たような椅子がY社から販売されていました。

さて、X社は特許権XXX号をなんとか使ってY社の椅子を排除できないか考えました。しかし、どの椅子が特許権XXX号の請求項1と一致しているかわかりません。そこで、クレームチャートを作成することにしました。
クレームチャートを作成するには、まず、請求項(クレーム)の言葉(文言)を分けて(分節して)いきます。分節にはルールはありませんが、なるべく一つの意味毎になるようにわけていくとよいです。

請求項1をAからDに分節してY社の椅子1から4と比較をしました。その結果、椅子1及び2はAからDについて一致(YES)となりました。なお、椅子2にはひじ掛けがありますが、請求項にない構成要件を製品と比較する必要はありません。

前のクレームチャートではYES/NOのみの記載でしたが、その判断根拠は客観的かつ具体的に記入しておくと効果的です。
なぜなら、自社での検討を複数人で行う場合や、他社にクレームチャートを見せて交渉する場合、また、裁判において提示する場合などを考えると、主観的な判断ではなく、あくまで客観的で具体的な説明が求められるからです。

椅子2は椅子1に比べて、図面の椅子との違いがあります。X社が椅子2についても侵害と主張する場合には、クレームチャートでなぜ、権利侵害と思うのかについて客観的かつ具体的に説明できるようにしておくとよいです。
そうしておくことによって、例えば、相手方はX社の主張を正しく理解することができ、その後の議論がスムーズに進むからです。

以上、簡単にですが、クレームチャートとは何か?について説明しました。権利行使の場面においてクレームチャートに基づく議論・交渉は最初の山場になることが多いです。また、最初にお話ししたとおり、クレームチャートは、権利行使以外の場面でも役に立つツールです。
本説明が理解のお役に立てれば幸いです。
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